御蔵島のイルカたち

御蔵島の住人・ミナミハンドウイルカ

 

伊豆七島の三宅島と八丈島の間にある緑に包まれた「イルカの住む島・御蔵島(みくらじま)」

御蔵島周辺には現在約130〜150頭のミナミハンドウイルカという種類の野生イルカが定住しています。

 

ハンドウイルカ(バンドウイルカ)は従来、外洋性のトランキータス型と沿岸性のアダンカス型に区分けされていましたが、2001年に御蔵島や小笠原近海等に生息するアダンカス型のイルカが「ミナミハンドウイルカ」と別種として定義されました。トランキータス型と比べると少し小型で吻(くちばし)が長く、成長するにつれてお腹に斑点が現れてくるのが特徴です。

 

今でこそ”イルカと遊べる島”となっている御蔵島ですが、最初から遊んでくれたわけではありません。

御蔵島には昔からイルカたちが住んでいましたが私が最初に御蔵島のイルカと出会ったのは1980年代の後半。

元々は用心深い野生動物だったイルカたち。その当時は船に付いて泳いだりはするものの海に入ってもスグに逃げてしまって水中では影も形も見られないような状況でした。「一緒に泳げる」という感じになってきたのは90年代に入ってからです。

 

よく「イルカが見られるシーズンは?」という質問を受けますが、イルカたちは一年中ずっと御蔵島にいるのです。

ただし、ドルフィンスイムのシーズンは4月~11月位に限られます。冬場は海が荒れるので、御蔵島へ行く東海 汽船の船もほとんど着かないし、ドルフィンスイムの船も出せなくなってしまうからです。
御蔵島のルールでは3/15〜11/15と規定されています。

 

個体識別 御蔵島には何頭のイルカが住んでいる?

身体の特徴や傷跡などから1頭1頭を識別する事を個体識別(I.D.)と言います。

御蔵島では尾びれや背びれ、胸びれの欠け方や、大きなキズや身体の特徴などを手がかりにして個体識別を行なっています。生まれたばかりの子供は傷がなくきれいなので識別出来ませんが、2~3年は母親と一緒にいるので、その間になにか目印が出来れば、群れから離れても誰の子供かわかるようになります。

 

御蔵島ではほとんどのイルカが個体識別されていて、全体の頭数もかなり正確に把握されています。

一度に20~30頭近くのイルカがいなくなってしまった年もあり、ドルフィンスイムの影響が懸念されたりもしましたが、このような集団移住?は他の海域でも報告例があり、原因はわかりません。 毎年、何頭かが生まれ、何頭かが移動もしくは死亡しているので若干のプラスマイナスがありますが、ここ数年では130〜150頭前後で落ち着いています。

イルカたちの生活

御蔵島はイルカたちの出産・子育ての場所であり、生活の場所です。

家族というよりは群れを作って生活しますが、御蔵島の場合、3~4頭の小さな群れもあれば、20~30頭の大きな群れもあります。オスはオス同士、メスはメス同士で群れを作りますが、仲良しグループという感じでオスのグループにメスがまざったりする場合もあります。 群れ自体も離合集散を繰り返していて、他の群れにまざったり戻ったりと流動的です。

 

メスは赤ちゃんのいる親子を守るように大きな群れを作る事が多く、オスは比較的少数で群れを作りますが、子連れのイルカでも大きな群れに入らないイルカもいて、その生活も様々です。ほとんどのメスは一生を御蔵島で過ごしますが、オスはある程度の年齢になると御蔵島を離れてどこかへ移住してしまいます。御蔵島に高齢のオスがいないのはこのためです。

動物には繁殖域での適正個体数があります。増えすぎるとエサが枯渇してしまうというのが主な理由と言われていますが、御蔵島のイルカたちもこのような事を本能的に察知して出て行くのでしょうか?

 

御蔵島での観察ではメスは10才位で初産年齢を迎えます。ちなみにイルカの妊娠期間は約12ヶ月です。 赤ちゃんはお母さんイルカにぴったり寄り添って2~3年間位は母乳で育ち、平均して3年程度一緒に過ごし、やがて親離れします。母親以外のイルカがベビーシッターをしている事も多いので一緒にいるからといって必ずしも親子とは限りません。

 

イルカたちはいつも遊んでくれるわけではありません。 彼等にも生活のリズムがあるので、遊び時間、休息時間、食事時間、何かのための移動時間、その他の都合?や その時の気分といった感じで、遊んでくれたり通り過ぎるだけだったり。海が荒れている時はイルカのいる海域へ 船が近づけない時もあります。

通り過ぎるイルカたちは、静かに見送りましょう。 追いかけても疲れるだけで振り向いてはくれませんし、無用なストレスを与えてしまうことにもなりかねません。

遊んでくれるイルカは向こうから近付いて来ます。 出逢ったらイルカに合わせて泳いでみましょう!

潜れる人は水中で待っているようにすると、向こうから近づいて来てくれる可能性が高くなります。

潜るのが苦手な人は水面で寄って来るイルカに合わせて泳ぐだけでもたっぷり楽しめますよ♪

 

 

メスの大きな群れ。赤ちゃんイルカの姿も見られます。